成功事例

GLM: 次世代の電気自動車ビジネス

電気自動車を開発する京大発のベンチャー企業GLMは、香港の出資者からの支援を受け、海外ビジネス展開の拠点を香港に構えています。CEOの小間裕康氏は香港には世界の金融センターとしての利点と情報が非常に多く集まるマーケティングセンターとしての利点があると話します。大型香港プロモーションキャンペーン”think GLOBAL think HONG KONG”の分科会「中国・アセアン市場とその攻略法」に小間氏が登壇し、グローバル展開する上での香港の重要な役割を講演します。お申し込みは公式サイトから:www.thinkglobalthinkhk.com/jp

 

香港を通じて世界のお菓子

お菓子メーカー大手のカルビーは日本だけでなく香港でも大変好評です。 フォーシーズグループ会長のスティーブ・タイ氏はカルビー製品に幸福・喜びという意味のある「卡楽比」と名付け、1976年から毎月カルビー製品を日本から香港に大量に輸入していました。2017年、日本政府はスティーブ・タイ氏の中国における日本食材の普及に大きく寄与した功績を称え、旭日双光章を授与しました。

 

世界のデータセンター、香港。

香港は優秀なテクノロジー人材が豊富で発達した情報インフラと安全性も備えていることからアジアのビジネスハブとして香港にリージョナルヘッドクォーターを置く企業が多くあります。その為、信頼できるデータセンターはとても重要でありニーズも高まっています。NTTグループは香港に同社初のアジアデータセンターを設立し、アジア最大級の規模を誇ります。

 

NEC-日本の大手IT企業が香港市場の利点を活用

1990年代後半まで約30年間にわたり、日本の電化製品は熱狂的に迎えられた。日本から世界中の輸出先に届いた途端に、現地の購買者に買い上げられていたものだった。

「当時、自ら顧客を探すことはなく、顧客が自らやって来ました」と、NECコーポレーションの子会社であるNEC香港代表取締役社長エルザ・ウォン氏は語る。

「ポケットベル、ドットマトリックスプリンター、マルチシンク液晶モニターなどのNEC製品が香港市場に届けば、注文が押し寄せ、商品は飛ぶように売れたのです」

しかし今日のグローバル化や市場での競争激化は、日本の電子業界大手を急速に多様化させた。現在NECは、IT、バイオメトリクス、スマートシティ技術の統合サービスにおける世界リーダーであり、エレクトロニクスやテレコム製品、ITソリューションなどを多国籍に展開している。

NECのアジア子会社の一つとして、NEC香港はこのアプローチの推進に重要な役割を果たして来た。NECに20年間勤務するウォン氏は、中国や韓国のエレクトロニクス企業との競争激化に伴い、グループの収益が減速し始めた2000年を目前にして、NEC香港は手遅れになる前に、会社の事業戦略を見直し改革しなければならないと考えた。

「当時はハードウェア製品が弊社の強みでしたが、まださほど大きくなかったさまざまなITソリューションを検討し始めました」とウォン氏。

NEC香港チームは、既に成熟させていたNECのPBX(企業内で使用される私設電話網である構内電話交換機)に関する既存のリソースを活用して、コールセンターシステムを開発。既存の強みに基づいたこの戦略は、非常に効果的であることが判明した。

当時、この分野では市場競争がほぼ皆無だったため、NECのコールセンターソリューションは市場を圧倒した。これはNEC香港にとって、IVR(インタラクティブ・ボイス・レスポンスと呼ばれる、着信に応答し、顧客に指示を出す自動システム)へと範囲を広げる原動力となり、それが市場でも高い評価を得ることになった。

「これらのITソリューションの市場需要は良好でしたが、収益面では当社のテレコム製品ビジネスとほとんど比較になりませんでした。私たちはそれを超える独自性の高い何かを必要としていたのです」

そこで、チームはバイオメトリクスに注目した。「まず、顔認識に焦点を当てました。当時、顔認識に注目していた会社は香港の2社のみで、中国本土には皆無でした。そして、香港の入国管理局がすぐにクライアントになりました。彼らが2003年に完成させた顔認識技術は、NECが開発したものです」とウォン氏。

「NECのバイオメトリクス事業はますます拡大しています。香港で最初にローンチされたため、香港チームが日本NEC本社の事業ローンチをサポートしました。また、英国、米国、ロシア、トルコなどの他のNECオフィスに対してもサポートを提供しました」

現在、NECの製品の90%はITソリューションが占めており、残りの10%はハードウェア製品である。ウォン氏は、NEC香港が同グループのグローバル事業展開を支えていると話す。

「健全なビジネス上の意思決定を行うために、異なる情報源からの情報入手が重要になります。確かに市場調査に頼ることはできても、現地の知識と経験を持つ有能な子会社から直接フィードバックを得ることとは比較になりません」

ウォン氏はまた、香港で事業活動を行う国際企業は、さまざまなメリットを享受できると言う。「香港の中国本土への近さは強みです。情報と資源を迅速かつ安価に手に入れることができますから」とウォン氏。

「香港は非常に小さな市場なので、ここで新製品を発表すれば、それが上手く行くか行かないかを大変迅速に知ることができます。新製品を試すテスト市場として最適なのです」とウォン氏は続ける。「通常、香港の市場は要求が非常に高いのですが、それは家賃が高く、時は金なりと考えるからとも言えます。香港である製品が受け入れられた場合、他の市場でもたいてい成功するのです」

ウォン氏は、文化的に香港と日本は相性が良いと語る。

「日本企業は製品開発に長けています。一方、香港は市場に精通しており、パッケージングと品質管理に対するサポートを提供することができます」

ウォン氏は、地域内の競争激化に直面し、国際的プレゼンスの拡大を目指す日本企業は、香港で事業を起ち上げることで、新たな活路を見出すことができると述べる。

 

MTel – デジタルソリューションを通じてグローバルに拡大

MTel CEOのウィリー・ウォン氏は、10年ほど前にモバイルアプリケーション、今で言うところのアプリが登場した際の、懐疑心と期待感が入り混じった感覚をいまだに覚えている。

「当時、世間一般では、アプリとはひと目を引くためだけのものという印象があって、多額の投資を考える会社も少数でした。しかし今日、アプリは私たちの生活の一部になっています」とウォン氏。

香港のデジタル化を後押しし、最も成功したモバイルアプリケーション開発者の一人であるMTelのCEOにとって、モバイルアプリがいかにして人々の生活を形作って来たかを目の当たりにしたこと、そして自身もその中で役割を果たしたことは素晴らしい体験だった。

「多くの人々は、携帯電話でインターネットに接続できたけれどもアプリはなかった黎明期が、どのようなものだったかを忘れているかもしれません。私たちはそんな進化の一端を担ってきました。これからは複雑さを増すばかりなものの、面白さもさらに増していくでしょう」

MTel社は、デジタルソリューションを考案する小企業として1999年に設立された。モバイルアプリが登場する前は、携帯電話で顧客とつながるためには、企業は電気通信会社に頼らざるを得なかった。

例えば銀行なら、個々の電気通信サービスプロバイダーが提供するオンラインポータルを通じて、顧客にモバイルバンキングサービスを提供することしかできなかった。そんなデジタルプラットフォームを、多くの通信会社の顧客をサポートするために作成していたMTelは、舞台裏で活躍し、デジタル業界を支えた数少ない会社の一つだった。

モバイルアプリケーションが表舞台に登場するまでの間、MTelは相当な技術的なノウハウを蓄積し、確固たる顧客層を抱える熟練したデジタルソリューションプロバイダーへと成長を遂げ、香港の新しいモバイルトレンドに影響を与えるという大きな役割を果たした。

長年にわたり、モバイル、ウェブ、ソーシャルのアプリケーション、セールスプレゼンテーションツール、eラーニングプラットフォームなどの設計から開発まで網羅して、サービス範囲を大幅に拡大。香港に本社を置き、アジア4都市に支店を構えるMTelは、150人以上のITスペシャリストやビジネス開発エグゼクティブを雇用しており、その多くは20~30代の若い世代だ。

同社は、小売業者、金融会社、銀行、電気通信会社、公共事業者など、さまざまな業界の有力企業を顧客に持つ。また、業界リーダーとして多数の賞を受賞。アジア太平洋地域でのモバイルマーケティングの卓越性を称える「Mob-Exアワード2018」では、上位4賞を含む8つの賞を獲得した。

さらに、アジアではシティバンク初のモバイルアプリの作成や、旅行者に幅広い空港情報を提供する香港国際空港のアプリを開発し、香港ジョッキークラブのために、競馬情報とインタラクティブゲームを特徴とするWeChatプラットフォームも設計している。

「デジタルスペースを家とすると、私たちはいわばインテリアデザイナーのようなものです。家はすでにそこにあって、私たちが持つお客様に関する知識と、そのニーズに基づいて、インテリアデザインのアイデアを考え出し、そのアイデアを実現し、問題解決を手助けするのです」

ウォン氏は、MTelが「デジタルマーケティング代理店」ではないことを強調している。

「私たちは、短期的なマーケティングキャンペーンのアイデアを出して、キャンペーンが終わり次第引っ込めるという訳ではありません。私たちが作り出すものはそのまま残りますし、必要に応じて改良し、アップグレードして行きます」

このようなポジショニングからMTelの顧客へのコミットメントがうかがわれ、それがMTelの顧客拡大の理由のひとつとなっている。現在、MTelは台北、ホーチミン、バンコク、広州にオフィスを構えている。ウォン氏によると、ベトナムとタイは、デジタルソリューション開発の分野では比較的経験が少ない。しかし同時に、多くの現地企業がビジネスを成長させるために、技術とイノベーションのソリューション活用が生む潜在性に触れたいと考えている。そのため彼らは、MTelのようなデジタル業界での経験豊かな会社に目を向けるのだ。

最近、ウォン氏率いるチームは、タイで最大の映画館チェーン向けのアプリを開発した。これは単に顧客にチケットを販売するアプリではなく、映画館チェーンが利益を上げるために戦略的に設計されたツールでもある。

「たとえば、あなたがチケットを購入すると、私たちが収集したアナリティクスに基づいて、一緒に行きたいと思いそうな特定の友人を招待するように、アプリが自動的に提案して来ます。もしその友人もチケットを購入すると、あなたにはポップコーンなどを購入する割引特典が送られたりします」とウォン氏。「これこそビジネス志向を抱きながら、アプリのユーザーによる支出創出を戦略的に考えるということなのです」

海外進出の範囲を広げているMTelには、国際的プレゼンスを強めようとする企業に対して、アジア地域の技術先進国で果たしている役割がある。

事例の一つとしては、スマートフィルムの海外流通を狙った韓国の映画制作会社が挙げられる。MTelは技術サポートを提供する、海外のコンタクトポイントとしての役割を担った。

韓国と同様に高度な技術を持つ日本の場合はどうか。ウォン氏は、国際的プレゼンスの確立を計画しながら、デジタルスペースの活用を手掛けている日本企業にも、外部からの支援が役立つと考えている。

「日本は先進国であり、日本市場はすでに一部の業界では飽和状態にあるかもしれません。それは、企業がグローバル化を考え始めるタイミングでもあります。しかし、海外への拡大は単純ではありません。言葉の壁が障害になることがありますし、さらには海外事業を一から起ち上げる際の機会費用もあります。優れたネットワークと経験を持つ海外パートナーを頼れば、より楽に進めることができます」とウォン氏。

「技術が進歩するにつれて、デジタルソリューションは洗練度を高めると同時に複雑化し、ありとあらゆる産業で需要はさらに高まるでしょう。私たちのようなデジタル支援企業は、データの収集やソリューションの考案を手助けしますが、中でも特に重要な役割は、ビジネスを向上させることにあるのです」

 

Maz World:香港発、最先端のバイオテクノ

Maz Worldはダチョウの卵から抗体を抽出する最先端のバイオテクノロジーを応用し、様々なヘルスケア商品を開発、製造しています。この技術を世界へ発信する為、香港の大学や政府のサポートを受けて香港科技園(香港サイエンスパーク)内で起業しました。香港は多様性が高く優秀な技術系の人材も豊富なことから、バイオテクノロジーの中心地になり得る潜在性を秘めています。

 

香港から世界へNTTの多通貨決済サービスを

世界51カ国、210都市で展開し、従業員11万人を有する日本の大手ITサービスプロバイダー企業NTT データ。その香港における子会社として、日本で培ったノウハウを活かした決済サービスプロバイダーとなり、世界各地に展開するEC(電子商取引)企業にグローバル決済サービスを提供しているのが、NTT データ(香港)だ。

グローバル・ペイメント・ハブとしての香港

EC事業は今、世界最大の市場である中国から東南アジア全域に広がりつつある。NTT データは、EC事業者がグローバル事業の統合化、ビジネスプロセスの効率化を図るトレンドを見据えて、香港をグローバル・ペイメント・ハブとして、2015年にNTT データ(香港)を設立した。

香港をグローバル・ペイメント・ハブに選定した第一の理由は、その優れた立地にある。顧客であるEC事業者にとって大規模なマーケットの中国本土へのベース拠点となり、成長中の東南アジア各国マーケットへのハブ拠点にもなり得るのが、香港なのである。

また、フィンテックハブとして香港政府が企業誘致に力を入れているのも大きい。例えば、投資、海外送金、銀行口座開設などに関わる外国為替法の規制が少なく、複数通貨決済の手続きが容易なことが挙げられる。それに加えて、消費者の多い人民元の決済についてはオフショア取引(非課税)となるため、中国本土に展開しやすい。ペイメント・ビジネスにおいて、香港のこのような税制・法規制が有利に働くというわけだ。

さらに、高い教育水準を誇る香港では、英語・中国語人材が豊富なのはもちろん、金融や税務、会計など専門知識を持つワーカーを雇用しやすいのも特長だ。

越境ECのシームレス化

香港をグローバル・ペイメント・ハブとする、NTT データ(香港)によるワンストップの他通貨決済サービスを利用することは、アジアを中心に広く海外展開するEC業者に大きなメリットをもたらす。

その背景にあるのが、アジア各地で発達している、その土地独自の電子決済方法だ。たとえば中国本土ではアリペイ(支付宝)やウィーチャットペイ(微信支付)、銀聯カード、東南アジアではスマホを財布代わりに使うeウォレット(電子財布)サービスなどが主に利用されている。

EC業者は、多様な決済方法に対応するNTT データ(香港)の他通貨決済サービスにより、国境を越えて幅広く顧客を獲得し、商品の販売促進につなげていくことができる。

さらに、中国本土を初めとするアジア各地からの訪日客は年々増加傾向にあり、2020年の東京オリンピック開催により、勢いをさらに増すことが予想されている。訪日中の体験から、日本の商品や企業に注目する消費者も増えていくだろう。そんな中で、NTT データ(香港)による越境EC業務サポートは、日本とアジアのビジネスの架け橋としての役割をさらに強めていく。

NTTデータ(香港)は、「変わらないこと、分かりやすいこと」をモットーに、「Online to Offline―いつでもどこでも同じ品質のサービスを提供する」姿勢を守りながら、さらに前進していく。

 

IDEOをパートナーに、デザインケーパビリティを持つスタートアップを支援するベンチャーキャピタル、D4V(ディー・フォー・ヴィ)

2016年、東京を拠点にしたベンチャーキャピタル「D4V(ディー・フォー・ヴィ): Design for Ventures」設立のニュースは、国内外で大きな話題を呼んだ。

なぜならその母体は、Appleの初代マウスをデザインしたことで知られる世界的デザインコンサルティングファームであり、「デザイン思考」の生みの親であるIDEOと、「起業家の最初のパートナー」として、数多くの創業期スタートアップへの投資を通じた支援に特化した東京のベンチャーキャピタル(VC)、Genuine Startupsの提携によるものだったからである。

Genuine Startups 出身で、D4V創業メンバーの一人であり、ポートフォリオディレクターを務める井上加奈子氏は、D4V設立の背景を次のように語る。

「Genuine Startupsとして、日本のVC業界に足りないものは何か、自分たちに何が補完できるかと考えた時、日本のスタートアップには、まだまだグローバルな会社が現れておらず、それをサポートしていくようなVCが必要だという結論に至りました。これを実現するためには、既に世界的に地位を確立している企業と組む必要があると考え、Genuine Startups共同代表であり、現D4VのCEOである高野真が、元々親交が深かった世界的デザインコンサルティングファームIDEO共同経営者であるトム・ケリーに話を持ちかけたところ、トム自身の兼ねてからの思いとの一致もあって、驚くほど早く話が進んだのです」

トム・ケリー氏の「思い」とは何だったのか。

日本が持つイノベーティブのポテンシャルに注目

「日本は世界でもっともイノベーティブな国であるのに、国内総生産(GDP)当たりの起業家の数が非常に少ない。もっと失敗を恐れずチャレンジすることを奨励し、起業や、イノベーションを発信するために必要な自信をつける手助けをしたい。日本が起業家精神にあふれた場所になり、スタートアップが日本のGDPに大きく影響を与え、スタートアップという選択肢が才能のある人にとって魅力的なキャリアパスになることを目指したいというのがトムの考えでした」と井上氏。

日本は高いポテンシャルがありながら過小評価されていると考えるケリー氏と、日本のVCのグローバル化を願う高野氏の方向性が共鳴し、IDEO 40%、Genuine Startups 60% という出資比率の合弁会社であるD4Vの設立に至った。

「D4Vのミッションは、日本の社会に大きなインパクトを与えるスタートアップを育てること。投資時点でグローバルに展開する意思があるか、グローバルに展開できるサービスかも重要視しています」と井上氏。

「D4Vには私も含めて戦略コンサルタント出身者がそろっていますので、世界のどこの市場にポテンシャルがあるかを定量的に絞り込んだ上で、現地でインタビューを重ねて定性的に絞り込むというアプローチを採用しています。弊社の最大の強みとは、戦略的なハンズオン(投資先企業の経営に参画すること)で提供できる価値が非常に高いこと、デザイン面でのサポートを提供できること、という2つになります」

D4Vという社名は、「Design for Ventures」に由来する。今や、シリコンバレーなど競争の激しい地域で勝ち抜くために欠かせない「デザイン」は、グローバル展開を目指すスタートアップにとって必要不可欠なものだが、日本での浸透度はまだ低いと言う。

「D4Vは、デザイン・ケーパビリティを持つ日本で唯一のVCです。IDEO特有の人間中心デザインや、デザイン思考における様々なツールやアプローチのスタートアップへの活かし方を伝えるセミナー等も実施しています。顧客を優先的に招待するものの、外部のスタートアップの参加枠を設置し、知見を深めていただく機会を設けることを意識しています」

香港企業/スタートアップとのパートナーシップの可能性

現時点でD4Vは、香港との直接の関わりはまだないものの関心は高い、と井上氏。

「弊社の投資先の進出先として非常に面白いのではないでしょうか。たとえばファッションテック。香港の方は高感度で、日本発のファッションへの興味や許容度が高く、出費額も高い。日本と非常に近い面もあり、サービスを日本の次にローンチしやすい場所だと考えています。タイやインドなど、信頼できるコネクションがある国に、弊社も眼が向きがちではありますが、香港で一緒に日本の企業を展開したり、日本の企業が海外でファンドレイズする際に参加してくれる投資家を募ったりするためには、適切な現地パートナーを見つけることがまず必要です」

さらに、逆方向のサポートとして、日本での展開を希望していて、日本でのパートナーを求めているけれども、日本市場の特殊性から足踏みをしている香港の起業家に、ぜひD4Vを訪ねて来て欲しい、と言う。

「たとえアイデアベースであっても、このサービスが日本の社会を変える、日本のこの業界に変革をもたらす、などのポジティブなインパクトがありそうなスタートアップであれば、シードステージから投資をすることもあります」

さらに、井上氏自身が、女性の比率が非常に少ないVC業界で活躍する女性の一人という立ち位置から、「日本では残念ながら女性起業家の方の数もまだまだ少ない。香港の女性起業家の方にも、ぜひ日本に来て欲しいですね」という思いも語ってくれた。

情熱あふれる異才の持ち主たちとの密な交流

企業対象のコンサルタント時代と違う、VCでの仕事の醍醐味とは何かを、最後にうかがった。

「起業家の皆さんは、単なる仕事を超えた、人生そのものとして命がけで事業をされていますから、その熱量に触れることで、こちらも日々心を動かされます。こちらのアドバイスも、大企業であれば反映されるまで何年も掛かるかもしれないことが、VCであればすぐにインパクトが見えて来ます。そして長いスパンでのおつきあいが続くため、ファミリーのような愛着をお互いに抱くようにもなります。起業家の皆さんは、凡庸ではない世界観を持つ方ばかりなので、日々刺激になって毎日飽きることがありませんね」

デザインの力を活かしながらスタートアップを支援することを通じて日本の社会にイノベーションをもたらそうというD4V自体からも、高い熱量が発せられていることは間違いない。

 

ABCクッキングスタジオ:海外事業の本拠地を香港に

ABCクッキングスタジオは香港に2013年にパン教室を開講して以来、ソーシャルメディアや会員の口コミを通じて急ピッチで事業規模が拡大しています。同社は香港を海外事業の本拠地に選んだ理由として、香港のシンプルな税制や容易な法人設立、そして豊富な日本語人材を挙げています。また信用力の高い日本の商品やサービスは、香港を架け橋として中国にも伝わっていくとも唱えます。

 

大中華圏の日立財務統括拠点を香港に

大中華圏での事業発展を目指して

日立グループの上場子会社である日立キャピタル株式会社。金融サービスに特化し、社会インフラ、環境と再生可能エネルギー、ベンダーファイナンス、カーリース、ヘルスケア、農業の6領域でビジネスを展開する、日立グループの他の子会社とその取引先に、財務ソリューションを提供している。

中国本土、香港、台湾で200社以上もの子会社を持つ同社にとって、大中華圏でのビジネスは非常に重要な位置付けにある。そこでのビジネスを効率化するため、2016年にHitachi Capital Management (China) Ltd.(以下HCMC)を香港に設立した。

なぜ香港を拠点に選んだのか

Managing Directorの武田真史氏は「中国本土向けに出資を行う場合、さまざまな規制や手順に従わなくてはなりません。事業の拡大に伴い柔軟性を確保するため、従来のように直接中国への資本投入を増やすのではなく、他の方法で新たな資金需要に対応する道を探っていました」と話す。

多くのグローバル企業が香港に外貨資金管理センターを有する中、同社もオフショア財務統括拠点として香港を選んだ。法規制が安定していることや、法律や金融の専門家の人材が豊富なことなど、金融センターとしての先進性と成熟度の高さが、香港を選定した大きな要因だったという。

香港での新会社設立プロセスも、わかりやすく明快。中国への入り口として香港が最適だという結論に至ったと武田氏は語る。

HCMC設立で実現した円滑な資金調達

香港の銀行からシンジケートローンを調達し、クロスボーダーでグループ内融資を行うことにより、リース子会社への資金貸し出しが容易になるなど、HCMCの設立によって、資金調達機能が強化されている。

また、グループ内のファクタリングやアセットコントロール機能を香港拠点に集約することで、キャッシュフローを最短化することに成功した。さらにクロスボーダー人民元債やパンダ債(中国内で非居住者が発行体となって人民元建てで発行する債券)、香港域内での米ドルなど、資金調達の手段を多様化できたことも大きな成果だ。

日立グループのものづくりを支える

中国法人から日本法人への配当には10%の源泉徴収税が課されるのに対して、香港法人であれば5%になるという、香港政府による優遇措置がコストダウンに直結している。

また組織再編後は、HCMCが中国本土にある日立キャピタル系列のリース子会社やファクタリング子会社の持ち株会社となるため、資金投資のさらなる効率化が進む。中国本土での日立キャピタルによる事業をサポートする経営管理機能を含め、資金調達以外の業務も、香港を拠点にすることを検討している、と武田氏。

2016年度の中国における公共案件の割合は、グループ全体の営業資産の約8割にものぼった。地方政府傘下の企業と共同リース会社を設立するなど、協賛事業も多様化している。中国の社会インフラ事業の急速な発展を見据えつつ、ものづくりの日立を支える立役者として、HCMCのさらなる発展が期待できる。

 

日本仕込みの技術で香港をデザイン

香港だからこそ挑戦する価値がある

1996年の香港での創業以来22年にわたり、ユニクロ、フランフラン、吉野家などの日本でも名だたるブランドや、香港企業の商業施設内のインテリアデザインを数多く手掛けてきた「K&C Creations Ltd.」。社長の河野正氏は、前職での6年間の香港駐在後に帰国辞令が出たのをきっかけに、香港に残り独立することを決意。

駐在期間中に、外国人に対する垣根のなさや、独立する人を応援しようという香港の人々のマインドに魅了されたことが、背中を後押しする形となった。社名の「K」は河野氏の姓の頭文字を、「C」はChinese(香港をはじめとする中華圏の人々)という意味が込められているほど、香港への愛情は大きくて深い。

「香港は大きくはないけれど、十分チャレンジする価値のあるマーケット。独立してビジネスを立ち上げるにも、税制や法規制の面が分かりやすいので仕事がしやすい」と河野氏は話す。上述した香港の人々のオープンなマインドがあるからこそ、激しい競争の中でも、自ら営業して受注することより、人と人との繋がりで仕事を紹介してもらって受注する場合が多いという。

河野氏にとって今でも忘れられないプロジェクトが、2013年のユニクロにとって香港初のグローバル旗艦店「ユニクロ リー・シアター店」。基本設計はユニクロ本社からの持ち込みではあったものの、地下2階から地上1階までの3フロアにわたる売場の総面積が700坪という、大規模かつ難易度の高い仕事内容。

さまざまな困難はあったが、香港で培った長年のネットワークや技術を生かして、見事に完遂した。

カフェのあるくつろぎのオフィス空間

そんな多忙を極める同社では、毎晩終業時刻が遅いため、スタッフの食事がおろそかになりがちという課題があった。それを解決するため、2017年末のオフィスの引っ越しをきっかけに、オフィスも兼ねたカフェを始めたという。

「頑張って働いて、空腹を覚えた時に、そこで食事ができるオフィスにしたかった」という河野氏の発想は、後の同社の新たな方向性を決めることになった。今やこのカフェには、名物のパンケーキ目当てに訪れる一般客も多いのだとか。

河野氏は新たな目標として、香港にはないクロス糊付機(壁紙に糊を均一に塗布する機械)を日本から導入し、仕事の効率と確実性を高め、サービス品質を向上させることを掲げる。また、カフェの運営を拡大しながら、空間とコミュニティーがより密接につながるような、人々の心地のいいライフスタイルを提案していくことも目指しているという。

 

フジのコンテンツを香港から世界へ

人が集まるところにビジネスチャンスあり
香港で毎年開催されるアジア最大の映像見本市「香港フィルマート」。2018年は3月下旬に開催され、35カ国と地域から800社以上が参加。中でも、中国からの出展は過去最高の220社に達した。

今回の香港フィルマートでは、日本からはフジテレビ社が単独ブースを構えた。フジテレビ社の総合事業局コンテンツ事業センターで国際ビジネスチーム企画担当部長を務める藤沼聡氏は、香港フィルマートでの経験についてこう語る。

「とにかく大規模なイベントで、各ブースは個性豊かに贅沢に作られている。多数の参加者、来場者がいるため、飛び込みも含めて多彩な商談ができ、事業の幅も広がった。当社にとって重要な取引先である中国の会社も多かったことから、非常に有意義な出展になった」

日中韓で3カ国同時製作の快挙達成
フジテレビ社が40年以上前から注力している海外事業は、成長著しい分野だ。

「ドラマと映画の垣根を作らず、さまざまな事業に果敢に挑戦するべく、試行錯誤を続けている」と藤沼氏。

2018年6月に放送を終了したドラマ『コンフィデンスマンJP』の脚本には、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』やドラマ『リーガル・ハイ』などで知られる、実力派の古沢良太氏を起用。すでに日本での映画化も決定しているほか、韓国と中国でも古沢氏の脚本をベースにしたドラマ製作が、日本と同時進行で行われた。

ドラマ放映前の脚本の段階から、他国での製作が開始されるのは日本のテレビドラマ史上初の快挙。日本の優れたコンテンツが海外で認められた好例である。

フジのコンテンツをさらに海外へ
藤沼氏は、コンテンツビジネス界の現状を次のように語る。

「長年、日本では著作権の独特な権利処理など複雑なシステムが災いして、勢いが低迷しつつある。一方で中華圏の配信・製作会社には資金やパワーがあり成長が著しく、競争が激化している。とはいえ、番組製作会社と放送局が分離しているのが一般的な海外と比べて、日本のテレビ局の強みは、独自に番組製作をして放映までできることにある。この長所を生かして魅力あるコンテンツを作り続け、中華圏を始めとして欧米など、世界に向けて発信していきたい」

最後に、海外進出を予定する企業に向けて、藤沼氏に自身の経験を交えたアドバイスをうかがった。

「海外で売れると考えた作品が、いざ持ちこんでみたらまったく売れないこともあれば、逆にこれは海外では無理だと思い込んでいた作品に、意外な好反応があって驚くこともある。海外に出たらとにかくあらゆる人に会って、提案をして行くことで、想定外のところからも新しいビジネスチャンスが生まれる可能性があることを、常に忘れずにいて欲しい」

 

エイサムテクノロジー:香港を通じスマート照明を世界に

創業から2年のエイサムテクノロジーは、オフィス用途向けの省エネソリューションを提供しています。照明分野で大きな市場規模を持つ中国や欧米地域を開拓する拠点として、香港が持つ世界のバイヤーとのコネクティビティー(つながりやすさ)を評価します。同社は香港貿易発展局が主催する『香港エレクトロニクス・フェア』のスタートアップゾーンに出展することで、出展費用を抑えつつ、効率的な商談を行う道を選択しました。

 

ダンシングストーンの輝きを香港から発信する

香港は世界へのゲートウェイ
日本のジュエリー業界全体の売上が、バブル期の約1/4に過ぎない9千億円にまで縮小している中で、躍進を続けているのが株式会社クロスフォーだ。

2018年には世界145の国・地域から87,000人ものバイヤーが参加した、世界規模のジュエリーショー「香港インターナショナルジュエリーショー2018」に、クロスフォー社は20回目となる出展を行った。

「香港は、航空路線、宿泊施設、インフラなど、すべてが整っている。このジュエリーイベントは、当社にとって商品を世界に知らしめる貴重な機会になっている」と、クロスフォー社代表取締役社長の土橋秀位氏。

さらに、宝石取引を行う上で、香港には決定的なメリットがある。中国の場合、宝石を扱うためには輸入関税や増値税(日本の消費税に相当する付加価値税)などで、課税が50%以上にも達するという障壁がある。一方、フリーポートである香港では無税か、あるいは少額の税金で、宝石を行き来させることができるのだ。

クロスフォー社は、2007年に香港子会社を設立以来、香港を窓口として全世界でパートナー展開を行っており、現在、会社利益の50%を輸出で上げているという。香港では、英語人材が雇用しやすく、社内公用語である英語で業務を進められるのも、大きな魅力になっている。

「世界各国には多種多様なルールがある。能動的に動いて、それぞれの国のルールを学んで行くことで、柔軟な対応が可能になる」と、土橋氏は海外展開への姿勢を語った。

世界に羽ばたくダンシングストーン
クロスフォー社が試行錯誤の末に2010年に発明した「ダンシングストーン」は、世界のジュエリー界に革命をもたらしたとまで評されている。ダンシングストーンとは、人間のわずかな動きをジュエリーの細かな振動のエネルギーに変えることで、センターストーンだけが振動し続けるというセッティング技術だ。

「日本だけでなく世界各国での特許取得には、多大な労力がかかるが、知的財産権を確実にすることで、海外での事業展開を安定して進めて行くことができる」と土橋氏。

弛まぬ努力が功を奏して、2018年7月現在、ダンシングストーンは、世界10カ国で特許取得、19カ国で意匠取得を達成しており、その他多数の国での特許出願も継続中だ。

土橋氏は、今後の事業展開について、次のように意気込みを語ってくれた。

「変化の波に乗るのも大事だが、他に類をみない商品を作り、変化を生み出すのが当社の役割。中国や欧米だけでなくインド、アフリカ、東南アジアなど世界中のあらゆる地域で、さらに多くの女性がダンシングストーンを身につけてくれる―そんな未来を創って行きたい」